
はじめに:なんでそんな考え方するの?社会人と学生の“思考ギャップ”
社会人として働き始めた新卒の多くが最初にぶつかる壁──
それは「価値観や思考のズレ」です。
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「なんでそんなに慎重なんだろう?」
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「結論から話せって言われるけど、理由が大事じゃないの?」
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「正解より“納期”が大事って、どういうこと?」
こうした違和感の裏には、社会人ならではの“思考のクセ”が隠れています。
この記事では、社会に出る前に知っておきたい3つの代表的な“思考のクセ”と、その背景や対策を紹介します。
1. 「完璧より、まず早く」──時間を価値とする思考
● なぜ社会人は「スピード」を重視するのか?
学生時代は「丁寧であること」「正確さ」が重視されましたが、
ビジネスの現場では“8割でいいから早く出す”ことが評価されるケースが非常に多いです。
【図1:学生と社会人の成果感覚の違い】
観点 | 学生 | 社会人 |
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成果の基準 | 正解・完成度 | 実行力・スピード |
提出タイミング | 期限ギリギリでもOK | 早い方が評価される |
フィードバック | 評価の結果 | 改善の起点 |
Point:社会人にとって「速く出す」ことは、周囲の判断材料を早く提供し、次の行動を早めるための“貢献”です。
2. 「主語は“自分”ではなく“チーム”」──成果の持ち主は誰?
● 自分の仕事=チームの仕事と捉える発想
学生生活では、課題も試験も「個人の成果」でしたが、
社会では「自分の仕事が、誰に・どんな影響を与えるか」が常に問われます。
【表1:仕事を“チーム視点”に変換する例】
自分の行動 | 学生的な見え方 | 社会人的な見え方 |
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予定通りに報告 | 自分のタスク完了 | 他メンバーの準備時間を確保 |
指摘に反論 | 自分の正当性を主張 | チームとしての改善視点を欠く |
情報共有 | 自分のためのメモ | チームのリスク回避に貢献 |
Point:社会人は「この行動が周囲にどんな意味を持つか?」を無意識に考えています。
「貢献視点で考えるクセ」が、信頼を高めるカギになります。
3. 「答えを求めず、まず考える」──曖昧さに耐える力
● 答えのない中で、まず動くという思考法
「どっちが正解ですか?」「正しいやり方を教えてください」
そう聞きたくなるのが新卒の自然な感覚ですが、社会では“正解がない前提”で動く力が求められます。
特にビジネスでは、「完璧な答え」よりも「仮説→検証→修正」のループが重要です。
【図2:学生と社会人の意思決定の流れ】
Point:社会人は、“正しさ”ではなく“納得解”を素早く見つける姿勢が評価されます。
まとめ:「思考のクセ」がわかれば、不安はぐっと減る
社会人になると、やること以上に「考え方」が問われるようになります。
だからこそ、入社前にその“クセ”を知っておくことで、初期のつまずきを回避できるのです。
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完璧よりスピード:「まず出す」が信頼の第一歩
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個人よりチーム視点:「誰にどう影響するか」で行動を設計
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正解より仮説力:「まず動く」で評価される